第45章 灰原仁司が来た

灰原仁司が来た。

藤原智彦ほど派手じゃない。車は1台、運転手が1人、アシスタントが1人。……なのに、トランクから降ろされた荷物を見た瞬間、撮影現場がしんと静まり返った。

フルーツでも、スイーツでも、限定マフラーでもない。

最新型のハイスペックな移動式編集ワークステーションが2台。ポストプロダクションチームの手に、そのまま直送。

箱ごと積まれた輸入ミネラルウォーター。銘柄は、現場のスタッフが誰も読めないようなやつ。

それから――海外のル・コルドン・ブルー出身というパティシエが、今朝空輸で届けたオーダーメイドの菓子。銀色の保冷箱に収められ、蓋を開けた途端、冷気がふわりと溢れた。

「灰...

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